♯13とある雑居ビル1(暴力団の事務所)
建物入り口で呼び鈴を鳴らす斉藤。後ろに春樹。
扉が開くが、中には数人の暴力団組員が二人を
睨んでいる。
春樹、横に立つ斉藤の顔を見る。
中へ案内される。二人はエレベータに乗り4階へ。
エレベータ内
春 樹「斉藤さん、確か迷子の子犬探しって言ってましたよね…
なんか雰囲気が違いませんか?」
斉藤、笑顔は変えないが無言。
暴力団事務所内
ソファーに座る斉藤と春樹。
大きなガラスの灰皿が置かれたテーブルを挟んで
若頭組員がタバコを口に咥え座っている。
その周りには4人の組員たちが立つ。
斉 藤「どのようなワンちゃんをお探しでいらっしゃいますか?」
若頭組員がタバコを自分の手の平で消し吸殻を
灰皿へ。
若頭組員「そのワンちゃんはさ、困った事にウチのシマで勝手に
薬物売りさばいててさ、あんたそいつ知ってるよな!」
春 樹「それって、梅野のことですよね?」
春樹、小声で斉藤の横顔に確認する。
斉 藤「それが、今回の依頼でよろしかったでしょうか?
では、今から(手続きを取らして頂きたいのですけど
よろしいでしょうか)」
斎藤が話している最中(セリフ中)に
若頭組員怒鳴りつける
若頭組員「そんな事は今、どうでもいいんじゃ!
探偵さんよ、ちょっとした情報があってな…ウチのシマを
荒らしているやつの事教えてくれんかのう!」
斉 藤「申し訳ありません、質問の意味が私(わたくし)には
理解できないのですが…」
若頭組員「しらばっくれるんじゃねえ!
お前らをどうにかしようってんじゃねえんだ!
さっさとウチのシマ荒らしてるやつの名前を言え!
隣のにーちゃんびびってるじゃねーか!
教えてくれればすぐ帰してやるよ!な、
にーちゃんも早くお家にかえりたいよな!」
春樹の肩に手をまわす若頭組員
斎藤の顔を見る春樹
斎藤、依然笑顔をたやさない
組員の携帯が鳴り出る。
若頭組員「どうした?客?誰だよ、いま忙しいんだ!」
↑
↓
1階で組員が携帯で4階の若頭組員へ電話している。
その顔には銃口が突きつけられている。(能面のマスク
をした男が銃を突きつけている)
1階組員「…ヤバイ客です」
麻薬患者「探偵が2人そこにいるか聞け…」
1階組員「探偵を探しているそうです…」
↑
↓
若頭組員「探偵だと?」
↑
↓
1階で銃が撃たれる音、壁に血が飛ぶ。
1階組員の携帯電話が落ちる。
(銃の発砲、撃たれる等の表現は無し)
↑
↓
若頭組員「おい、ヤバイ客だ、下に行け!捕まえるんだ」
拳銃を握り走って出て行く組員たち。
廊下を歩く麻薬患者、手には銃。
立っている組員。後ろから手が伸びて首の骨を折られる。
崩れ落ちる組員、その後ろには麻薬患者が立っている。
事務所の監視カメラのモニター映像、見つめている
若頭組員。
そこには倒れている組員が何者かに両足を引っぱられ
廊下の陰に消えていく映像が。
若頭組員「おい…一体どうなってるんだ?」
エレベータの回数表示が上に向かってくる。
階段の踊り場から組員が叫びながら落下。
いつの間にか4階の事務所には春樹と斉藤二人きりに。
いっぱい組員が殺される映像
(銃の発砲、撃たれる映像は無し)
静まりかえる室内。銃の音が聞こえなくなる。
斉 藤「町田くん…ちょっと外を見てくる…君はここにいるんだ」
春 樹「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!」
斉 藤「いいから待ってろ!」
開かれた扉に向かってゆっくり歩く斉藤。
斉 藤「誰かいるんですか?」
斉藤が部屋を出ると同時に
扉の上から何者かの(麻薬患者)腕が伸びて
扉を閉める。
扉の外で銃の音。
春 樹「斉藤さん〜!」
叫びを上げるが動けない春樹。
扉のすりガラスごしに黒い人影が映り、
ドアノブが動く。
春樹、机に置かれている一丁の銃を握り、
震える手でドアに向ける。
春樹の後ろに黒い人影(麻薬患者)が浮かび上がる。
春樹の後頭部に銃が突きつけられる。
引き金を引く麻薬患者、しかし玉切れで、
銃を捨てる
春 樹「きさま…斎藤さんを、俺達はヤクザじゃないんだぞ!」
怒りと、哀しみで麻薬患者に銃を向ける春樹
手が震えている
麻薬患者「むしろ、ヤクザが被害者で、もともとお前達が狙いさ」
春 樹「なんで、どうして、やめろ!」
拳銃をぶっぱなす春樹
麻薬患者は腕から血をながしている
麻薬患者「全然痛くないや、さすが、先生の薬は医療用だけ
あってすごいな!」
春樹、震えが止まらない
拳銃をぶっぱなす春樹、玉は一発も当たらないまま
玉切れになる
麻薬患者「ではそろそろ」
素手で春樹を殺す
春樹倒れる
携帯電話が鳴っている(香織の着信音)
携帯を踏み付ける麻薬患者
目の前には笑顔のたえない斎藤さんが苦痛に
苦しんでいる顔
立ち去る麻薬患者の後姿
暗転
♯14香織のマンション
広い部屋で春樹の帰りを待っている香織。
春樹の帰りが気になって電話を何度もかけている
春樹の帰りを待っている香織の横顔。
勝手に冷蔵庫をあける香織
そこには、バースデーケーキが入っているのを思わせる箱
箱をそっと覗く香織
そこには、メッセージカードと香織はほしがっていた
カメラ
香織は春樹に悪いと思いながらもカメラを手にとり
自分に向けてシャッターを切る
その瞬間フィルムが入っていた事に気付き
慌てて箱にしまう
しかし、香織としての写真はこれが最後かもと思うと
春樹に早く会って、自分の事を伝えたいと考えてしまう
いろんな事を考えている香織の顔(ホノカとしての告白?)
ふとテレビ画面を見ると、そこには『暴力団事務所』の
悲惨なニュース。
死亡した人の写真
テレビに写る春樹の写真
香織の瞳に映る春樹の顔写真。
玄関のチャイムがなり香織がゆっくりとドアを開ける。
そこにはマネージャーが立っている。
香 織「マネージャー!?」
マネージャー「香織ちゃん、今すぐ、仕事でられないかな」
香 織「春樹が、春樹が、(声にならない声)」
マネージヤーに抱き着く香織
マネージャー、ニュースをみて微笑を浮かべる
マネージャー「どうしたんだい香織ちゃん、ねえ、泣いてちゃ
わかんないよ」
香 織「春樹が、死んじゃった(声にならない声)」
マネージャー「何言ってるかわからないよ香織ちゃん」
困ったふりをしているマネージャー
香 織「春樹!春樹!どうして、貴方に
伝えておきたいことがあるのに・・」(関西弁)
涙が止まらない。
マネージヤー、香織に抱き締められ、腕に痛みを感じる
♯15 顔屋内(昼)
顔屋(寝台上の春樹)
マスクをした男(顔屋=沢井)が立っている
春樹は寝台の上、身体は動かず、
意識は朦朧としている
顔 屋「ここで貴方の人生をリセットします。
私の昔年(せきねん)の思い、あなたにも
存分に味わってもらいますよ!」
春樹、眠りにつく
♯ 春樹の夢の中-子供の頃の回想(夜)
麻酔を打たれた春樹の意識が朦朧とする。
春樹の脳裏に一人の子供の顔が浮かぶ。
その子供は春樹の顔を見て笑っている(沢井千秋)
春 樹「(NA)あいつ誰だっけ・・・確か・・・
あいつは何処へ行ったんだっけ・・・思いだせない・・・」
顔屋のベッドの上
眠りについている春樹